森永から記憶対策ヨーグルトなるものが発売されました。いったい、なにをもって記憶力が良くなるといっているのでしょうか。普通のヨーグルトを食べても記憶は良くならないのか?
だれがなってもおかしくない認知症。どうせ毎日ヨーグルトを食べているのであれば、少しでも認知症リスクを減らせるヨーグルトを食べたほうがいいです。ヨーグルトメーカーで量産できるか試してみました。
1.2025年 700万人認知症問題
将来の健康での心配事として認知症があります。自分だけはなりたくない、なってしまって家族に迷惑かけたくない、という方が多いのではないでしょうか。
厚生労働省によると、2012年時点で認知症の方は462万人、団塊の世代が後期高齢者になる2025年には、65歳以上の高齢者の5人に1人にあたる700万人に達すると言われています。
また、介護が必要になった主な原因の17.6%が認知症で、介護原因の第一位です。国も「今や認知症は誰もが関わる可能性のある身近な病気」と位置付けています。
認知症については、まだ特効薬が開発されていません。だれでもがなる可能性がある認知症だけに、将来のために日ごろから気を付け、予防をすることが必要になってきます。
2.森永 記憶対策ヨーグルトの効能
大手食品メーカーの森永乳業から、“加齢に伴い低下する認知機能の一部である記憶力を維持する”という機能性表示食品、「森永メモリービフィダス 記憶対策ヨーグルト」が発売されました。従来、認知症への効果が高い食べ物というと青魚のDHA・EPAなどがありましたが、ヨーグルトで商品名に「記憶」を表示する商品は初めてではないでしょうか。
パッケージには機能性表示成分:ビフィズス菌MCC1274(B breve)とあります。これは、B breveという菌の名前のMCC1274株ということです。何種類もあるうちの1274番ということになります。
さて、このような食品の効能って本当に効くのか、わかりにくいものがあります。いったい何をもって記憶力を維持できるといっているのでしょうか。
以下は森永のWebサイトにある「ビフィズス菌MCC1274が記憶力に影響があるか」を示した臨床試験結果です。RBANSスコアというテストにおいて、ビフィズス菌MCC1274摂取者40人と、プラシーボ効果の未摂取者40人の認知機能の変化を16週間にわたり比較しています。
ビフィズス菌MCC1274取得者が「①即時記憶:覚えた単語や物語をすぐに復唱できるか」「②視空間・構成:空間的関係を認識し、正確に構成する能力。図形模写など」「③遅延記憶:少し前に覚えた単語や物語、図形を思い出す力」の3つで、改善する結果を出したということです。
気になるのが、評価するために実施されたRBANSというテストです。これは、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(RBANS : アーバンス)というもので、全米で標準化された神経心理学検査のひとつです。
この検査は、即時記憶、遅延記憶、視空間 ・ 構成、言語および注意の各認知領域を評価することができる簡便でかつ詳細なスクリーニング検査で、全検査が約30分で施行でき 、現在米国において脳外科、神経内科および精神科領域を中心とした多様な疾患の評価に用いられています。
客観的に見て信頼できそうな試験です。
ここで一つ疑問がわきました。「脳腸相関」という言葉があります。これは生物にとって重要な器官である脳と腸がお互いに密接に影響を及ぼしあうということを示しています。つまり、従来のビフィズス菌でも脳に及ぼす影響はあるという事です。
臨床試験はビフィズス菌MCC1274摂取者40人と、なにもとっていない40人の比較です。では普通のビヒダスに入っているビフィズス菌BB536を摂っていた場合と比較したらどうなのでしょうか。
森永のお客様相談へ聞いてみました。

ビフィズス菌MCC1274は通常のビヒダスに入っているビフィズス菌BB536と比較し、どれだけ認知機能に効果があるのでしょうか。

何倍の効果があるという比較データはありません。
なんと、比較データはないという回答でした。つまり、自社製品比何パーセントアップというのはわからないという事なんですね。
もうちょっと知りたかったので、くらいつきました。今度は折り返しで男性の方から回答いただきました。

では、通常タイプのビヒダスの方が効果があるかもしれないですよね?

ビフィズス菌のbreveは業界でも脳に効果の高い菌と注目されていました。その中でMCC1274株が最も効果の高いことを発見し商品化しました。通常品よりは間違いなく効果はあります。
なるほど。長年の研究からビフィズス菌breveは、通常のビヒダスに使われているビフィズス菌BB536よりも記憶に効果があることは明確だったってことですね。
50年以上ビフィズス菌の研究をしている森永乳業を信用しようと思います。
3.普通のビヒダスとの違い
通常のビヒダスとの違いはもちろん、その菌の違いです。普通のビヒダスはビフィズス菌BB536なのですがメモリービフィズス記憶対策ヨーグルトはビフィズス菌MCC1477(breve)です。でも、それだけではありません。
注目すべきは3点あります。
1つ目はミルクオリゴ糖(ラクチュロース)の有無です。
メモリービフィズス記憶対策ヨーグルトにだけ入っています。この成分、ビフィズス菌の餌になり、菌を活性化させるものですが、「ビヒダス便通改善」という商品にも入っています。つまり、メモリービフィズス記憶対策ヨーグルトは、菌を活性化させるオリゴ糖もはいっていますので、元気のいい状態で取り込むことができます。
ただし、ミルクオリゴ糖の量は1mlで、「ビヒダス便通改善」の4mlよりも少ないです。
「ビヒダス便通改善」に関する記事は以下です。効果がありました。

2つ目は原材料です。
普通のビヒダスは生乳(国産)だけです。一方、「メモリービフィズス記憶対策ヨーグルト」は、砂糖やミルクカルシウム、寒天などその他の成分が入っています。食べやすいように味を調整していますね。
3つ目は菌の数です。
ビヒダスはビフィズス菌BB536が100mlあたり20億個以上です。メモリービフィズス記憶対策ヨーグルトはビフィズス菌MCC1477(breve)は200億個です。10倍も入ってます。これをどう考えるかです。
通常のビヒダスはトクホで、メモリービフィズス記憶対策ヨーグルトは機能性表示食品です。商品に菌の数を記載するためには、既定としてどちらかを取得している必要があります。
通常のビヒダスはトクホを取得するときに20憶個という菌数で申請しているので、20憶個となっています。また、よくみると20憶個以上と記載があります。もっと多くの量も入っている可能性もあるようです。
一方のメモリービフィズス記憶対策ヨーグルトも、機能性表示食品を申請した時の菌数が200憶個なので、200憶個と記載しています。これは、100憶個でも300憶個でもなく最も記憶に効果があった菌数が200憶個ということからです。
どちらもトクホや機能性表示食品として申請した菌数が元になっています。
結局はBB536の20億個が記憶に効くのか、MCC1477の200憶個が便通に効果があるのか、比較はないのでわかりませんが、それぞれの機能を果たすベストな菌数が入っているということになるのでしょう。
では、メモリービフィズス記憶対策ヨーグルトの成分を見ていきましょう。
メモリービフィズス記憶対策ヨーグルトには、ドリンクタイプと、固形タイプがありますが、どちらも種類別では「発酵乳」です。
メモリービフィズス 記憶対策ヨーグルト
種類別 | 発酵乳 |
---|---|
無脂乳固形分 | 9.5% |
乳脂肪分 | 1.0% |
原材料名 | 乳製品(国内製造)、砂糖、ミルクオリゴ糖(ラクチュロース)、ミルクカルシウム、寒天 |
内容量 | 100g |
賞味期限 | 17日間 |
保存方法 | 要冷蔵10℃以下 |
アレルゲン (表示推奨品目含む) |
乳成分 |
栄養成分 | 1個(100g)当たり エネルギー:71kcal、たんぱく質:3.5g、脂質:1.2g、炭水化物:12.0g、食塩相当量:0.13g、カルシウム:173mg |
機能性関与成分 | ビフィズス菌 MCC1274(B. breve) 200億個 |
ドリンクタイプ
種類別 | 発酵乳 |
---|---|
無脂乳固形分 | 8.5% |
植物性脂肪分 | 0.5% |
原材料名 | 乳製品(国内製造、ドイツ製造)、砂糖、ミルクオリゴ糖(ラクチュロース)、ココナッツオイル、ミルクカルシウム/安定剤(ペクチン) |
内容量 | 100g |
賞味期限 | 17日間 |
保存方法 | 要冷蔵10℃以下 |
アレルゲン (表示推奨品目含む) |
乳成分 |
栄養成分 | 1本(100g)当たり エネルギー:61kcal、たんぱく質:3.2g、脂質:0.8g、炭水化物:10.8g、食塩相当量:0.12g、カルシウム:170mg |
機能性関与成分 | ビフィズス菌 MCC1274(B. breve) 200億個 |
ドリンクタイプも固形タイプも同じような成分ですね。
一方の通常のビヒダスの成分です。
ビヒダス
プレーンヨーグルト
種類別 | 発酵乳 |
---|---|
無脂乳固形分 | 9.5% |
乳脂肪分 | 3.0% |
原材料名 | 生乳(国産)、乳製品 |
内容量 | 400g |
賞味期限 | 15日間 |
保存方法 | 要冷蔵10℃以下 |
アレルゲン (表示推奨品目含む) |
乳成分 |
栄養成分 | 1本(100g)当たり エネルギー:65kcal、たんぱく質:3.7g、脂質:3.1g、 炭水化物:5.5g、食塩相当量:0.13g、カルシウム:120mg |
機能性関与成分 | ビフィドバクテリウム・ロンガムBB536:20億以上 |
相違点をまとめると以下の3点です。
①ミルクオリゴ糖の有無
②生乳以外の砂糖や、ゼラチンなどが入っているか
③菌の種類と数
ここで考えました。ヨーグルトメーカーでつくるほうが、余計なものが入らずいいのではないかと。
1)砂糖、ゼラチンなど余計なものは必要ない。
2)ミルクオリゴ糖など菌のセサになるものは欲しい。
3)MCC1174という菌は活用したい。
ということで、この3つを満たすべくヨーグルトメーカーで作ってみました。
4.ヨーグルトメーカーで量産できない?
ヨーグルトメーカーで量産してみました。
①今回はドリンクタイプを種菌に使用してみます。種菌を100ml使いますので、種菌分の牛乳をパックから取り除きます。これで種菌1:牛乳9となります。ドリンクタイプの種菌でも固形タイプのヨーグルトはできます。
②牛乳はカロリーに気を付けるため低脂肪乳にします。ヨーグルトを作る時にしっかりと固まるようにするためには、低脂肪乳はたんぱく質の多いタイプを選ぶことです。
③よくかき混ぜます。
④ビフィズス菌のヨーグルトなので、いつもどおり42℃ 9時間の設定でできるはずと、アイリスオーヤマのヨーグルトメーカーの自動スイッチをON!
⑤9時間後、完成です。牛乳9にたいし、種菌の記憶対策ヨーグルト1が入っているので、ほんのりと甘さを感じます。このヨーグルトを種菌にして、再度つくればより純粋な生乳だけの「記憶対策ヨーグルト」ができます。。
100mlに対しオリゴ糖を4mlいれれば、さらに菌をパワーアップさせたものが完成、、、のはずですが。。。
なんと!
ビフィズス菌は酸素に弱いので、家庭の設備では菌を増殖できないようです。
では、なんで固まるのかというと、乳酸菌も含まれているからです。乳酸菌が増殖しているだけなんです。
今回、使ったヨーグルトメーカーはこちらです。ビフィズス菌以外のヨーグルトは増産できますので、コスパ抜群です。最新の価格は以下から確認いただけます。
5.まとめ
まとめです。
記憶に関しては、なかなか効果の実感がわかないかもしれません。ただ、少しでも維持、改善できる可能性があるのであれば、食べ続ける価値はあるように思います。その際は、毎日購入するしかないですね。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
①記憶対策ヨーグルトは、通常のビヒダスと比較しどれだけ記憶に効果があるのか、数値データとしてはわからない。
②しかし、業界で注目されていた菌を研究して、効果のある株を発見し商品化しているので、通常のものよりは効果があるはず。
③家庭ではビフィズス菌は増殖できない。