森永ビヒダスといえばビフィズス菌入りの代表的なヨーグルトですが、ヨーグルトメーカーで量産したいものです。でもビフィズス菌は酸素に弱いので、ヨーグルトメーカーで量産するのは難しいのです。でも、なんとかできないものか。ビフィズス菌のヨーグルトを量産するときには、どの種菌を使うのが理想的なのでしょうか。アイリスオーヤマのヨーグルトメーカーを使って極力酸素を減らした方法で作ってみました。
1.ビフィズス菌だけのヨーグルトはない?
世の中で販売しているビフィズス菌のヨーグルト。実はほとんどの商品がビフィズス菌だけが入っているわけではありません。実際はサーモフィラス菌とブルガリア菌などの別の菌も使われています。
なぜビフィズス菌だけのヨーグルトを作らないのでしょうか。
日本には食品として様々な「基準」があります。ただしヨーグルトとしての基準はありません。代わりに発酵乳の基準はあります。発酵乳の基準は無脂乳固形分が8.0%以上であることと1mlあたり1000万個以上の乳酸菌、または酵母菌がいることとなります。
ビフィズス菌は乳酸菌ではないので、ビフィズス菌だけのヨーグルトを作っても発酵乳として販売することができません。ヨーグルトの基準がない日本においては、ヨーグルトっぽいものは発酵乳として販売することになりますが、その発酵乳の基準を守ろうとすると、ビフィズス菌以外の菌が必要になります。
尚、欧米ではブルガリア菌とサーモフィラス菌で乳を発酵したものをヨーグルトとすると決められています。
ビフィズス菌だけでヨーグルトができるのか、できないのかわかりません。もしできたとしても、それは発酵乳ではありませんし、ヨーグルトでもありません。まあ日本にはヨーグルトとしての基準はないので、ヨーグルトといってもいいのかもしれませんが、グローバルな食品メーカーではそう言うわけにもいかないでしょう。
そんな背景でビフィズス菌だけのヨーグルトはないものと思います。
でもビフィズス菌ってすごいんです。
森永のWebサイトに、「整腸作用」に関する記事がありました。これによると普通の乳酸菌のヨーグルトよりも、ビフィズス菌入りのヨーグルトを食べた時の方が、腸内の有害物質であるアンモニア濃度が低下したようです。
ビフィズス菌BB536について|森永ビヒダスヨーグルト|森永乳業 (bifidus.jp)
なんとかビフィズス菌のヨーグルトを量産したいものです。
2.ビフィズス菌は酸素に弱い
一般的に「ビフィズス菌は酸素に弱い」といわれますが、酸素に弱くてすぐに死んでしまうというものでもありません。
ビフィズス菌は偏性嫌気性菌で酸素を嫌う性質であることは間違いありませんが偏性嫌気性菌の中では比較的酸素に影響をされ難い菌です。
ヨーグルトの中でなぜ発酵するのかと言いますと、発酵する前に牛乳を加熱殺菌してあり酸素が少ない状態になっていることと、ほとんどのヨーグルトの場合、ビフィズス菌に加えて乳酸菌を発酵に使用するため、乳酸菌(酸素 があっても発酵します)が発酵することにより、牛乳がより嫌気状態に近づきビフィズス菌発酵に適した条件を作ることです。
またメーカーはビフィズス菌に対する酸素の影響を除くために独自の工夫を行い、製造工程で牛乳に対する酸素の溶け込みを少なくしたり、一緒に発酵させる乳酸菌に牛乳中の酸素を消費する性質の菌を使用したりしています。また使用するビフィズス菌にヨーグルトの中で良く発酵するものや酸素に対して耐性を持つ菌株を選択して使用していることも理由のひとつです。
引用:ビフィズス菌は偏性嫌気性菌なのに、ヨーグルト等乳製品の中で死滅しないのですか。|よくある質問|腸内細菌学会 (bifidus-fund.jp)
ヨーグルトメーカーも、乳酸菌と混ぜることによりビフィズス菌が増殖しやすくしたり、より酸素に強いビフィズス菌を使用するなど工夫をしているんですね。
3.種菌は何がいい?
そんな酸素に弱いビフィズス菌なので、ヨーグルトメーカーの種菌にするには、できるだけ酸素に強いものが理想です。
ビフィズス菌の種類にも様々なものがありますが、森永ビフィダスに使用しているビフィズス菌BB536は比較的、酸素や酸に強いようです。
ヒトの腸内にすんでいるビフィズス菌は、一般的に酸素や酸に対する耐性が弱く、ヨーグルトなどの製品に使うのは難しい菌です。
森永乳業では、酸素や酸に対して比較的耐性の強い、ビフィズス菌BB536をヨーグルトや乳酸菌飲料、菌末などの製品に活用する独自の技術を持っています。
特にヨーグルト中におけるビフィズス菌の増殖や保存生残性を助ける乳酸菌との組み合わせ発酵による製造方法の特許を取得しています。
引用:ビフィズス菌BB536について|森永ビヒダスヨーグルト|森永乳業 (bifidus.jp)
4.普通に作ってみた。
まずは、いつも通りヨーグルトメーカーでビフィズス菌のヨーグルトを量産してみます。そもそもビフィズス菌のヨーグルトを種菌にしてヨーグルトメーカーで量産できるのでしょうか。過去、いろいろなヨーグルトをヨーグルトメーカーで作りましたが、小岩井乳業のイミューズやカゴメのラブレなどできにくいものもありました。ということで、確認の意味で作ってみました。
種菌にはもちろん森永ビヒダスの固形タイプを使いました。
牛乳は満タンで1000ml入っていますので、種菌の分量の100mlだけ減らします。そこへ種菌のビヒダスを100ml分投入します。
種菌のビヒダスが牛乳全体に行きわたるように、菜箸でよーくかき混ぜます。
アイリスオーヤマのアイリスオーヤマ ヨーグルトメーカー IYM-013の自動メニューのスイッチを押します。9時間後にヨーグルトが出来上がります。
できました!ジェネリックのビヒダスヨーグルトの完成です。ただし、ここまでは通常の作り方で出来上がったものになります。酸素に弱いビフィズス菌ですから、ビフィズス菌が増殖しているのかは、わかりません。もしかしたら、ブルガリア菌とサーモフィラス菌だけのヨーグルトかもしれません。
5.酸素を除いて作ってみた。
つづいて、できる限り酸素をのぞいて作ってみます。
では酸素に弱いビフィズス菌のヨーグルトを量産するためにはどうすればいいでしょうか。
①牛乳から酸素をなくす
ヨーグルトの原料になる牛乳から酸素をなくしてしまいたいです。そこで牛乳を煮沸することを考えました。でも鍋に移して煮沸したとしても、ヨーグルトメーカーの容器に移すときに空気と混ざってしまいそうです。。。
ワインも飲む前にわざと酸素に触れるようにするために、瓶からデキャンタに移したりします。せっかく煮沸しても意味がないように思えましたので、これはあきらめました。
牛乳の製造過程で加熱殺菌しますから、ある程度は酸素もなくなっていると思います。
②種菌投入時、牛乳と酸素が混ざらないようにする
牛乳が酸素と触れると考えられるのは、種菌のヨーグルトをを牛乳に投入して混ぜる時です。通常、ヨーグルトメーカーで作る場合、種菌投入時には牛乳に菌が均一に混ざるように菜箸などで攪拌します。この時に空気もいっしょに混ざりこんでしまいます。
これを避けるために、森永 ビヒダス ヨーグルト 便通改善 脂肪ゼロ ドリンクタイプを投入し、あえて混ぜない方法をとります。
こちらが原材料です。
乳製品(国内製造)、ミルクオリゴ糖(ラクチュロース)/安定剤(ペクチン)、甘味料(スクラロース)
機能性関与成分はビフィズス菌BB536 20億個ですが種類別では発酵乳ですので、ブルガリア菌とサーモフィラス菌も含まれています。液体なのでかき混ぜなくても大丈夫なはず。空気が入らないように、壁面にそって静かに注ぎ入れます。まったくかき混ぜません。
③牛乳と容器の隙間をなくす
牛乳の容器(紙パック)には、表面部に空気に触れる箇所が存在します。この部分の面積を減らすことが重要なので、ラップをはり空気と触れないようにしています。
ラップをしたままアイリスオーヤマ ヨーグルトメーカー IYM-013にセットします。
9時間後に完成です。種菌であるドリンクタイプのヨーグルトは攪拌せず、そおっと牛乳にいれただけです。またラップで空気を遮断させて作っても普通にできました。
④できあがったものの比較
右がいつもどおりの酸素を意識しないでヨーグルトメーカーでつくったヨーグルトで、左が酸素を極力排除したヨーグルトです。見た目は変わりません。
こちらがいつもの作り方のビフィズス菌ヨーグルトです。味も酸味のある普通のヨーグルトという感じです。
続いて無酸素バージョン。若干とろっとしています。これはビフィズス菌の効果なのでしょうか?味については、程よく酸味があり通常バージョンのヨーグルトとほとんど違いがないように思います。
本来であればドリンクタイプの種菌には甘みがついているので、ちょっとだけ甘くなるはずですがほとんど違いがわかりませんでした。
ビフィズス菌は酢酸を出すので、その分酸味が強いはずです。種菌のドリンクで中和されたのかもしれません。
ドリンクタイプの種菌は液体なのに、できあがったヨーグルトには粘性があります。この「とろっ」とした感じは、作り方の違いのように思います。
どちらのヨーグルトがビフィズス菌が多いのか確認はできません。ただし作り方の違いで、確実に違った状態のヨーグルトができあがります。
ビフィズス菌ヨーグルトの量産は、できるだけ酸素に触れずにヨーグルトを作ることでできるはず。量産できていると信じて作りたいと思います。
今回、ヨーグルトを作ったヨーグルトメーカーはこちらです。お得にヨーグルトを作れますよ。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。