日テレ「カズレーザーと学ぶ」24年6月11日の放送分で、「やせ菌・デブ菌の新常識!日本人の大多数の人が持つ新やせ菌の増やし方」で最新の研究成果が紹介されました。
2022年に発見された日本人に多く存在する「新やせ菌」。ある食べ物を食べると効果的に増やせるようです。まとめてみました。
やせ菌とは
解説いただいたのは国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 副所長 ヘルス・メディカル微生物研究センター長の國澤純先生です。
・1000種類ある腸内細菌のなかにある脂肪燃焼効果のある菌が「やせ菌」。
・やせ菌はやせている人に多くみられる腸内細菌。やせ菌を増やすことで太りにくくなる。
・やせ菌は世界共通ではなく、生まれ育った場所や人種で違いがある。
・2022年に新やせ菌ともいうべき日本人が多く持つ日本人特有のやせ菌が見つかった。
・この新やせ菌は、今までにない特殊な能力を持っている。
・とある食材を入れるとわずか1週間の食生活の変化で効果的に増やすことができる。
日本人が多くもつやせ菌を増やせばいいということです。
さて、いったいどんなものなのでしょう?
やせ菌のメカニズム
そもそも、なぜやせ菌が腸内にいるとやせるのでしょうか。そのメカニズムです。
世界中でやせ菌の一つとして知られている「アッカーマンシア」について説明します。
①アッカーマンシアは納豆やメカブに含まれるぬるぬるの元、「ムチン」を腸の細胞に大量に作らせます。
②そのムチンが腸壁を守るバリアの役割を果たし、体内に入り込もうとする余分な糖や脂をブロックします。
③さらにアッカーマンシアには血糖値を上げにくくする効果もあります。
これにより太りにくい体になります。
アッカーマンシアは最高のやせ菌ですが問題があります。
なんと日本人にはほぼいない菌なのです。持っている人は10%程度しかいないとのこと。
では、「菌を後から取得していけばいいではないか」と思いますが、腸内細菌は椅子取りゲームのようなもので元からいる菌が場所を譲らないのです。
短期的にやせ菌を増やしても常住しないので、元からいるやせ菌を増やす方が効果が持続するということになります。
新やせ菌 ブラウティアとは
では、日本人が持っている「やせ菌」とは何なんでしょうか。
それは日本人の90%が持っている「ブラウティア」になります。日本人が1人でもつ腸内細菌の3%がブラウディアとなります。
ブラウティアには他のやせ菌にはない、2つの特殊能力があります。
働き①短鎖脂肪酸を増やす
ブラウティアは短鎖脂肪酸を増やします。短鎖脂肪酸はやせ菌が作る代謝物です。
短鎖脂肪酸のダイエット効果として、
(1)満腹感の促進・食欲の抑制→食べ過ぎを防ぎます。
(2)血糖値の急上昇を抑える→糖が最終的に脂にかわるのを抑え肥満防止に。
ブラウティアが短鎖脂肪酸を作るメカニズムは「菌のリレー」です。
食物繊維→糖化菌が食物繊維を分解して糖へ→ブラウティアが糖を分解して短鎖脂肪酸へ、となります。糖のままだと血糖値が上がりますが、ブラウティアが短鎖脂肪酸に変化させているので余った糖が脂肪化しません。
ちなみにビフィズス菌もブラウティアと同じように糖を短鎖脂肪酸に変化させる「やせ菌効果」があります。
短鎖脂肪酸を生み出すビフィズス菌のヨーグルトをヨーグルトメーカーで量産した記事はこちらです。ご参照ください。
ブラウティアは短鎖脂肪酸を作り出すだけでなく、なんとビフィズス菌など他の菌にも短鎖脂肪酸を作らせ増やしてくれます。自分だけでなく、周りの菌にも短鎖脂肪酸を作らせるなんてなんて優秀なブラウティア!
働き②脂肪を燃焼しやすくする
ブラウティアは脂肪を燃やしやすくするオルニチンを作ります。
オルニチンの機能で有名なのは肝機能を高める効果です。シジミ汁などに入っていてお酒を飲んだ後にいいと言われています。これはオルニチンに肝機能を高める働きがあり、アンモニアを分解する効果があるからです。
オルニチンにはもう一つ大事な機能があります。それは成長ホルモンを生成することです。成長ホルモンは脂肪の燃焼をサポートします。つまりお酒を飲んだ時に飲むオルニチンのサプリなどは、脂肪燃焼にも効果があったということになります。
新やせ菌ブラウティアは、外からオルニチンをとらなくてもダイエット効果のあるオルニチンを自ら生成します。
ブラウティアの注意点
ブラウティアはやせ菌というよりも、太りにくくする菌です。が注意点があります。ブラウティアの効果を最大限に発揮させる条件は腸内細菌におけるブラウティアの割合を6%に維持することです。
日本人のブラウティア保有率の平均は3%程度です。また反対に多ければいいというものでもありません。6%に増やさないと宝の持ち腐れになります。
ブラウティアを増やす食材は
そんなブラウティアですが増やす食べ物があります。それは「大麦」です。大麦の食物繊維が有効です。
以下表は各食品の可食部100gあたりの水溶性と不溶性を合計した食物繊維量です。
大麦 | 7.9g |
玄米 | 3.0g |
精白米 | 0.5g |
小麦粉 | 2.5g |
ジャガイモ | 1.2g |
サツマイモ | 2.8g |
キャベツ | 1.8g |
セロリ | 1.5g |
レタス | 1.1g |
大麦は圧倒的に食物繊維が多いです。ブラウティアを増やすには水溶性食物繊維が必要なのですが、大麦は7.9g中の半分以上が水溶性食物繊維で、白米の16倍もあります。
食べる量はお米1合150gに大麦20g程度で大丈夫。ただし1回ではだめで、ブラウティアにエサとして与えるために継続する必要があります。
ブラウティアは大腸にいますが、他の栄養素は小腸で吸収されてしまいます。しかし大麦にはレジスタントスターチという難消化性でんぷんが多量に含まれており、これが大腸まで届き食物繊維同様にエサになるとのことです。
どうせご飯を食べるなら、大麦が入っているのがいいですね。サトウのごはんでも大麦入りがありました。
ダイエットは無理なく行いましょう。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。